ニオイエビネの自生地だった御蔵島。
  この島は約5000年前に噴火。
  つまり5000年かけてエビネが自生できる
  ライフラインが構築されたということである。
  
  生態系が出来上がるのに、悠久の年月が必要である。
  エビネの種子がこの島に落下して芽生えたということは、
  ラン菌が生息していたということになる。


 このニオイエビネを掘って、ラン菌の生息しない
 用土で植えれば、震災の仮設住宅の
 ようなものであるから、簡単に病気、ウイルスに犯される!
 やがて絶種。

 
  日本にニオイエビネの純系株が・・・・
  どの位残っているのだろうか。
近代の農業、園芸、植物栽培は、他の産業と同じように、
科学の進歩で得た知識、知恵で栽培を行ってきた。
光合成の発見。
無機栄養の発見。
この二つの発見は、現在の植物栽培にあまりに大きなものである。
植物栽培する時、どうやったら・・・もっと多く光合成をさせることが出来るのか。
近代科学が手にした無機化学肥料。
どういう無機化学肥料をどう与えれば・・・もっと大きく生長させ・・・多収穫できるのか。
科学が自然をコントロールし、更に超えることが出来る!
そういう考えが生まれるまでになる。
葉作りと根作り。
植物栽培は、突き詰めればこの二つになるが・・、
知恵を働かせて・・・多種多様な栽培技術が考案されてきた。
ラン栽培でも、作物栽培でも、植物栽培でも、多くの設備、資材、技術が生まれている。

今回の原発事故。
現代の科学、技術の粋を集積した原発で、安全神話がもろくも崩壊した。
「想定外」。
完全無欠のように構築されれたシステムが、一つ想定外のことが起こると、
全てが崩壊するという人間の知識、知恵の限界。

こういう事態から・・・現在のラン栽培、植物栽培を考察すると・・・・
太陽も土も微生物もいらない・・・削除した栽培が・・・最も科学的で進んだ栽培・・・
そういうところまでいってしまう。
東京丸の内のビルの地下で・・・電気照明でイネを栽培して、イネ刈りのパフォーマンスが行われた。
この電気・・・・
原発事故で明らかになったのは・・・・この電気は・・・無尽蔵ではなく・・・原発で作られたものだった!
計画停電・・・・
こういうことが現実になると、植物のライフラインが断絶する。
太陽なら・・・日食以外で・・・自然界ではこういうことは起こらない。
恵の大地も・・・ガーデニングどころか作物も植えられない土壌になった。

小さい、小さいことだけれども、ラン栽培でも同じことがいえる。
ランは菌根植物である。
こんな・・・菌根、共生するラン菌など無用である!
他の植物は化学肥料で充分作れるではないか???
ランも一つの植物に過ぎない。
ならば・・・他の植物と同じように作れる!
そういうことで、菌根無視で水ゴケ、バーク、軽石、杉皮、礫・・・で栽培してきた。
こういうことで、これまでのラン栽培法は構築されてきた。
あげく・・・ランは難しい。
そして現在「ラン菌」を説明できる「権威者」「園芸研究家」はいない・・・・。
砂上の楼閣のような栽培技術。
原子力村の科学技術は原子炉は作れるが・・・自然環境は作れななかった。
きれいな海、田畑、山、大氣・・・は作れなかった!
つまり、自然の中に原発は作れるが・・・・原発で自然は作れないことが露呈した。
汚染させることは出来るが・・・・・。
それと同じことで・・・ラン菌の生息しない水ゴケで、バークで、ランの自生地は作れないということである。
小さな鉢栽培のレベルの栽培技術で、現在までのラン栽培は行われて来たということである。
本当のラン栽培・・・ランが喜ぶラン栽培。
植物が本当に喜ぶ植物栽培。
それには自生地における炭素循環・・・・ラン菌との共生の生態系を構築したラン栽培を行うことであろう。

ラン菌削除という・・・一見非常に進んだ科学的な栽培法に見えるが・・・・。
ランの立場に立てば何百万年をかけて構築してきたラン菌と共生ライフラインが、
単純な科学の理論で・・・いとも簡単に・・・全く生態系無視の栽培の下で、
生き、花咲くことを強いられた・・・・というかもしれない・・・。
ランが難しいのは、これまでのラン菌の生息しない用土では、
鉢内に自生地の菌根植物の生態系、ライフラインを作れないからである。
そして夥しい山堀株が枯れてゆく・・・・。
簡単に言えば・・・菌根植物の栽培法は・・・完成していないということである。
SUGOI-neの開発で、ようやく始まったということである。
共生菌の世界は未知の世界である。

無機栄養での植物栽培の歴史は約200年。
このやり方の農業が、アフリカ、南米、オーストラリア、ボルネオ島で・・・・
原生林が伐採され農場、牧場がひらかれた。
化学肥料を施す農業。
収奪農業である。
そこには・・・・原生林時代の枯れ落ち葉・・・・の炭素循環はない。
枯れ落ち葉に生息していた菌も死滅している。
そこにあった植物のライフラインが原生林を伐採することによって一挙に破壊。
今回の地震、津波では・・・人間のライフラインが破壊、崩壊したが、
植物の世界では・・・利益追求の農業・・・食料生産の下で、
熱帯雨林のライフラインは破壊されつづけている。
この中で、森林の負け組み植物であるラン科植物などは生き残ることは出来ない!
生態系破壊というのは、別な言葉で言えば・・・ライフラインの破壊である。
ラン科植物にとって最も怖い破壊は、ラン菌が生息できない場所になることである。


人間の知識、知恵での栽培には限界がある
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